Introduction

Written by
Nobuhiko Akiyoshi

革に漆。日本で奈良時代に隆盛し、平安時代には木地に取って代わられ衰退したという漆器の技法。この「漆皮(しっぴ)」と呼ばれる技法による箱は、現存するものは国宝ともなっています。本池大介は、この漆皮を、独自の解釈と思考で再構築し、現代に響く作品を発表しています。革に7層8層と重なる漆の色。塗り、時間をかけて自然に乾かし、削り、また塗る。その繰り返しから生まれる景色は、本池の心に、自身の育った宍道湖に沈む夕日、あるいはネガフィルムを透かして見える風景を想起させます。アブストラクトな表情の中に見えてくる、さまざまな自然の色。今展では、昨年のOverlaid展で表現したモノクロームの世界から一歩踏み出し、色世界をご覧いただきます。本池の漆皮を語るシグニチャーともなるバッグに映し出される色漆皮。そして平面作品のドローイングやコラージュ。本池が立ち上げたブランドtaupe D. Motoikeのジュエリーなど、本池大介の手から生まれるさまざまな側面をご覧いただきます。


自分なりの「漆皮箱」を表現したかった。
大判の皮で作られた作品。

Topics

Story behind

Profile

本池 大介
革職人の家に生まれ、物心つく頃には革に触れ、遊び、生活の全てで革と向き合う日々を経て、家業として革職人になるべく幼き頃より父親のアトリエに入り、厳しい修行時代を過ごす。

革の持つ素材としての可能性を探求し、革に構う日々を経て、青年期にはフィレンツェの工房にて修行期間を持ち、革だけでなく地金や彫金といったマテリアルでの物作りに没頭しながら、あくまでも革細工師が作るジュエリーとは何かについて研鑽する日々を過ごす。
帰国後は家業の生業をブランド化し、そのブランドを代表するクラフツマンとして目覚ましい実績を残す。
20年余にわたる家業のブランドを代表するクラフツマンとして期間を経て、本池大介個人として独立し、Craftsmanshipを超えたところにあるArtisanとは何かを表現するべく、あらゆる天然素材に向き合い、material / matièreに拘り抜くプライベートブランドとして、taupe D.Motoikeを立ち上げた。 また、より作品性の強いアーティスト/作家としてのクリエイティブな表現に関しては、Motoike Daisuke名義の元、taupe D.Motoikeとは異なるアプローチにて発表していく。

The beginning of
Overlaid

本池に見せられた、革に漆を塗り重ねた原版。
これまでに見たことのない表情に驚きを隠せませんでした。
『Overlaid』と名付けたこの表現が進化し続けています。

Memories

前回展で初めて発表された漆皮を印籠型に成形した蓋付きの箱に革ストラップを付属した作品。
バックとしても使用可能な本池大介のシグニチャーピース。

Objects

新たな漆皮の表現を模索するべく今展で初めて制作された、
クレイを使用し塑像された土台に革を吊り込み、
そこに漆を直接オーバーレイドして作り上げたオブジェの作品群。

Art works

素材としてオーバーレイドされた漆皮を使用し組み合わされたパターンの表現や、
絵画のように研ぎ出された漆皮そのものを表現したもの、クレイを使用し立体感をつけた平面作品など、
平面における漆皮表現に取り組む作品群。

Overlaid works

本池大介の生み出す漆皮を唯一無二の素材と捉え、ヴィンテージ家具の座面に使用したり、
漆皮を部分使いしたバックなどの商品群。

taupe D.Motoike jewelry

本池大介がデザインから製作までの全てを手掛けるジュエリーブランド。
全てデザイナー本人によるフルハンドメイド。

Open gallery

OPEN
2022年12月9日(金)-18日(日)12:00 - 18:00
ADRESS
東京都渋谷区神宮前3-36-26 ヴィラ内川101
PHONE
03 6874 6102
       

Credit

Gallery Direction
Nobuhiko Akiyoshi
Contributors
Yusuke Shiiki
Roca Onishi
Masakado Nishibayashi
Yuko Mori
Shoko Akiyoshi