Written by Nobuhiko Akiyoshi
革に漆。日本で奈良時代に隆盛し、平安時代には木地に取って代わられ衰退したという漆器の技法。この「漆皮(しっぴ)」と呼ばれる技法による箱は、現存するものは国宝ともなっています。本池大介は、この漆皮を、独自の解釈と思考で再構築し、現代に響く作品を発表しています。革に7層8層と重なる漆の色。塗り、時間をかけて自然に乾かし、削り、また塗る。その繰り返しから生まれる景色は、本池の心に、自身の育った宍道湖に沈む夕日、あるいはネガフィルムを透かして見える風景を想起させます。アブストラクトな表情の中に見えてくる、さまざまな自然の色。今展では、昨年のOverlaid展で表現したモノクロームの世界から一歩踏み出し、色世界をご覧いただきます。本池の漆皮を語るシグニチャーともなるバッグに映し出される色漆皮。そして平面作品のドローイングやコラージュ。本池が立ち上げたブランドtaupe D. Motoikeのジュエリーなど、本池大介の手から生まれるさまざまな側面をご覧いただきます。
自分なりの「漆皮箱」を表現したかった。大判の皮で作られた作品。
本池に見せられた、革に漆を塗り重ねた原版。これまでに見たことのない表情に驚きを隠せませんでした。『Overlaid』と名付けたこの表現が進化し続けています。
Memories
前回展で初めて発表された漆皮を印籠型に成形した蓋付きの箱に革ストラップを付属した作品。バックとしても使用可能な本池大介のシグニチャーピース。
Objects
新たな漆皮の表現を模索するべく今展で初めて制作された、クレイを使用し塑像された土台に革を吊り込み、そこに漆を直接オーバーレイドして作り上げたオブジェの作品群。
Art works
素材としてオーバーレイドされた漆皮を使用し組み合わされたパターンの表現や、絵画のように研ぎ出された漆皮そのものを表現したもの、クレイを使用し立体感をつけた平面作品など、平面における漆皮表現に取り組む作品群。
Overlaid works
本池大介の生み出す漆皮を唯一無二の素材と捉え、ヴィンテージ家具の座面に使用したり、漆皮を部分使いしたバックなどの商品群。
taupe D.Motoike jewelry
本池大介がデザインから製作までの全てを手掛けるジュエリーブランド。全てデザイナー本人によるフルハンドメイド。